レビュー

無駄な会話はいらない「伝わる話し方」を身につける方法

伝わる話し方は、能力ではない、スキルだ!
本書は、報告が苦手な方、説明が下手な方、話が長くなる方に、言いたいことを10秒でズバッと伝える、伝わる話し方を体得して頂く本です。(「はじめに」より)

『10秒でズバッと伝わる話し方』(桐生稔著・扶桑社)の著者は、現在「伝わる話し方」をトレーニングするビジネススクールを運営しているが、新卒の頃はコミュニケーションを取るのが苦手で、「伝わる話し方」とは無縁の人間であったという。

「伝わる話し方」とは無縁の人間であった著者が、ビジネススクールの運営と、ビジネススクールでのトレーナーとして蓄積した知識と経験を簡潔に体系化し「会話の苦手な方にお届けするバイブル」として書いたのが本書。

今回は『10秒でズバッと伝わる話し方』の中から、いくつか僕が気になったことや思ったことをまとめていきます。

できるビジネスマンは話が短い

これまで私がお会いした、できるビジネスマンは例外なく、的確で、簡潔で、話が短いです。メールやフェイスブックのメッセージも極端に短いです。(11ページより)

できるビジネスマンは話が短い。
できるビジネスマンに会ったことがないので、正直なところ僕はよくわかりませんが。ぐだぐだと要領を得ない話をされると、「なにが言いたいの?」とか「それで?」とか言いたくなりますよね。

本書によると、できるビジネスマンは共通して「多読家」であり、常に多くの情報を取り入れている。けれども、本の内容を隅から隅まで読んでいるわけではなく、本の中の多くの情報から一瞬でポイントを特定する力「要約力」が高いということです。要約力が高ければ、自身が発信するメッセージも極めて短く簡潔にできます。

伝える力」が高い人は、それができるだけの「知識」や「情報」を持っている人だということですね。

それはそうと、話が短いかどうかはさて置き、メールやLINEのメッセージは僕も短いです。これってもしや僕もできるビジネスマン!?

大体「了解!」みたいな文章ですけど。

Appleの成功はシンプルさにある

アップルコンピュータ(現アップル)の設立者、スティーブ・ジョブズが掲げるヘッドライン(キャッチフレーズやスローガン)は、日本語にしても大抵15文字以内でできています。

「ポケットに1000曲」(iPod)
「アップルが電話を再発明する」(iPhone)
「世界で最も薄いノートパソコン」(MacBookAir)

簡潔で、明確で、具体的で、わかりやすいワードが並びます。(24ページより)

商品広告を見たときも、長文で書かれた商品説明よりも、シンプルなキャッチコピーの方に目を引かれますよね。
さて、ここで歴代「iPhone」シリーズのキャッチコピーを見てみましょう。

みんなが待っていたiPhone、ついに登場。(iPhone 3G)
これが、最も速く、パワフルなiPhone。(iPhone 3GS)
すべてを変えていきます。もう一度。(iPhone 4)
史上最高のiPhoneです。(iPhone 4S)
iPhoneの誕生以来、最も大きな驚きを。(iPhone 5)
あなたには想像を超えた力がある。(iPhone 5s)
この色は、あなたです。(iPhone 5c)
大きさ以上に大きく進化。(iPhone 6/6 Plus ①)
二つとないものを、二つのサイズで。(iPhone 6/6 Plus ②)
唯一変わったのは、そのすべて。(iPhone 6s/6s Plus)
小さなボディの大きな一歩。(iPhone SE)
7:これが、7。(iPhone 7/7 Plus)
美しき知性。(iPhone 8)

iPhone5cの「この色は、あなたです」は、色を一番の売りにしているんだとわかりますし、iPhone 6/6 Plusの「二つとないものを、二つのサイズで」なんかも、大きさが二種類あるんだなってわかりやすいですよね。一番伝えたい言葉が、キャッチコピーに要約されているわけです。

iPhone 4Sの「史上最高のiPhoneです」なんかは、ボジョレー・ヌーボーの「今世紀で最高の出来」とか「50年に1度の出来栄え」みたいなキャッチコピーに似た印象を受けて、なんとも言えない気持ちになりますが。

Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学
NHK出版
ケン・シーガル (著), 林 信行 (監修), 高橋 則明 (翻訳)

Amazon.co.jpで詳細を見る

会話の9割は無駄で構成されている

①聞いてもいないのに、必要のない情報を長々話す人
②何度も何度も同じことを繰り返す人
③それ、これ、あれ、と抽象的なことばかりで何を言っているのかわからない人

大事なポイントは、「無駄な情報を徹底的に排除する」ことです。(40ページより)

多いですよね、無駄なことを話す人達って。
むしろ、最後まで聞いても「結局、何が言いたかったの?」って人も多いと感じますが。

無駄な情報を徹底的に排除して、残った言葉が本当に伝えたい言葉なのです。

例えば、ついつい癖ででてしまう「ま~」「え~」「あの~」「その~」「この」といった言葉も無駄ですよね。会話が間延びしてしまい、何を伝えたいのかもわからなくなってしまいます。アナウンサーの方は、こういった言葉のゴミを徹底的にカットすることからトレーニングをするそうです。

僕も昔、入社した会社のマナー研修で同じようなことを習った記憶があります。語頭に「あ」をつけてしゃべらないとかそういうヤツを。よく言っちゃうんですよね「あっ、ハイ」みたいな感じで、ハイ。

相手が知りたいことは何かをまず考える

通常の人は、質問されると「相手に何を伝えようか」をまず思考し始めます。
しかし、できるビジネスマンは違います。できるビジネスマンは、「相手に何を伝えようか」ではなく「相手が知りたいことは何か」をまず考えます。
自分が話すことではなく、相手が知りたいことを思考するのです。(72ページより)

いくら「知識」や「情報」を持っていたとしても、自分本位の話をするだけでは相手に伝わらないどころか、話しの半分も聞いてもらえていません。だって興味ないですから。

「今、何してるの?」と聞かれて、「今、あなたと話しています」と回答したら、頭が悪いと思われるどころか相手の気分も悪くなりますよね。相手の質問に対して、相手がどういった回答を求めているのかを理解し、その要求に答える。この場合の「何してるの?」は、あなたの職業であったり、今なぜこの場所にいるのかであったり、はたまたあなたの近況を聞いているのかもしれません。少なくとも「今、あなたと話しています」などという、わかりきった状況を聞いているわけではないはずです。

この「相手の知りたいことは何か」がすぐに理解できるようになる方法として、常日頃から「相手の知りたいことは何か」を思考する癖をつけていくことで、傾聴力を鍛えることができると本書は説明しています。

何事も反復ということです。


本書は「伝える」ではなく「伝わる」に焦点を当てて書かれています。

そもそも「伝わる」とは何なのでしょう。

「伝える」は説明すること、「伝わる」は理解してもらうこと。
「伝える」は自分軸、「伝わる」は相手軸。
「伝える」は行為、「伝わる」は状態。

決まった正解はありませんが、伝わったなら相手からなら何かしらのアクションが起こるということで、スクールでは「相手のアクション」と教えているそうです。

すぐに実践できることから、経験を積み重ねてできるようになる「伝わる話し方」まで掲載されている本書。「自分のコミュニケーション能力に不足を感じている」「話すのが苦手だ」をいう方は一度手にとってみてはいかがでしょうか。自分に足りていないと思う部分を読むだけでも、きっと役に立つかと思います。

ABOUT ME
KW
ただのガジェット好き。iPhone・iPad・Androidを中心に、何か困った際の手助けになれるような情報を発信しています。