経済・ビジネス

個人事業主になる方法―必要な手続き、提出書類、用意すべき物

個人事業主(フリーランス)になった時に、提出しなければいけない書類・手続きについて解説。

その他にも、実際にぼくが個人事業主になった時に必要になったもの、あると便利だったものについても紹介していきます。

これから個人事業主として独立する方や、何が必要になるのかわからない方の参考に。

個人事業主になった時の手続き・提出書類

1.開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)

事業を開始してから1ヶ月以内税務署開業届を提出します。

開業届を提出しなくても特に罰則はありませんが、屋号で銀行口座を作りたい場合や後述する青色申告申請書を提出する場合は、開業届を提出しておきましょう。

事業を開始してから1ヶ月以内」といっても、利益がまったくない状態であったり、副業であったりすることも多いと思いますので、どのタイミングで開業届を提出すればいいのか悩みますよね。

個人的には、確定申告が必要な所得になるかどうかと、青色申告をするかどうかで判断すればいいかなと考えています。

確定申告が必要になる所得は次の通りです。

  • 副業:給与所得以外の合計所得が20万円を超える場合
  • 個人事業主:所得(売上 – 経費)- 基礎控除 = 0円を超える場合

基礎控除とは、所得控除の一種で、収入のある人であればだれでも受けることができる控除金額です。

基礎控除の金額については、以前までは一律38万円でしたが、令和2年分以降からは所得に応じて控除額が次のように変動します。

合計所得金額基礎控除額
2,400万円以下48万円
2,400万円超 2,450万円以下32万円
2,450万円超 2,500万円以下16万円
2,500万円超0円

基本的には、基礎控除は48万円と考えておいてよさそうです。

といっても、副業の方の大半は開業届を提出していないそうですし、ある程度収入がある個人事業主の方で開業届の提出に悩んでいる場合は、税理士等の詳しい方に相談することをおすすめします。

2.青色申告承認申請書

青色申告をする場合は、事業開始から2ヶ月以内税務署青色申告承認申請書を提出します。

すでに事業を開始していて、白色申告から青色申告に切り替えたい場合は、青色申告をしようとする年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出します。

白色申告、青色申告と言われてもよくわからないという方のために、2つの申告方法の違いについて簡単に比較していきましょう。

白色申告青色申告
記帳方法簡易な記帳(単式簿記)複式簿記
特別控除なし65万円(複式簿記+電子申告/保存)
55万円(複式簿記)
10万円(簡易な記帳)
家族の給与配偶者86万円
その他50万円 まで控除できる
全額 経費にできる
赤字の繰り越しなし3年

その他、白色申告と青色申告では、家事按分(自宅オフィスの場合に家賃光熱費の一部を経費にできる)の割合に違いがあったり、青色申告者のみが30万円未満の固定資産が全額経費になる「少額減価償却の特例」を受けることができる等の違いがあります。

控除金額に関しても、青色申告では最大65万円の特別控除を受けることが可能ですが、白色申告では特別控除はありません。

以前までは、所得が300万円以下の白色申告者は帳簿付けが義務化されておらず、白色申告と青色申告では事務作業量に大きな差がありましたが、平成26年以降からすべての白色申告者に帳簿付けが義務化されました。

昔と違って今は会計ソフトが優秀ですので、簿記ができなくても簡単に帳簿付けができるようになりましたし、白色申告でも帳簿付けが義務化された今なら、青色申告で65万円の控除を受けたほうがいいかなと。

個人事業主(フリーランス)だと、この会計ソフトの内のどれかを使っていることが多いですね。

どれも帳簿付けだけでなく、確定申告用の書類の作成までできます。

青色申告の65万円の控除を受けるのが難しく感じる場合は、まずは10万円の控除から考えてみてはいかがでしょうか。

3.事業開始等届出書

これに関しては、各都道府県によって様式も違っており、東京都を例に言うと事業を開始してから15日以内に都税事務所に提出となっています。

事業開始等届出書は、個人事業税に関する届出書ですが、個人事業税は所得が290万超から発生するため、提出していない個人事業主の方が多いとのことです。

なお、提出しない場合でも特に罰則はありませんし、確定申告をした時に税務署から都道府県や市区町村にも通知がされますので、所得が290万を超えている場合には納税通知書は当然届きます。

提出書類まとめ

提出物提出先期間
個人事業の開業・廃業等届出書税務署事業開始1ヶ月以内
青色申告承認申請書税務署事業開始2ヶ月以内

基本的には、開業届のみの提出でも問題ありません。

事業開始年度から青色申告をする場合は、青色申告承認申請書を事業開始2ヶ月以内に提出します。白色申告から青色申告に変更する場合は、青色申告をする年の3月15日までに提出しましょう。

事業開始等届出書については、ここでは省きましたが、上記の項目で説明した通りです。

個人事業主に必要なもの、あると便利なもの

次は、個人事業主になった時に必要だと思うもの、あると便利だったものについて紹介していきます。

業種によって必要になるものには違いがあるかと思いますが、どの業種でも共通して必要となりそうなものをピックアップしてみました。

1.会計ソフト

仕訳から確定申告まですべて税理士に頼む場合は必要ない可能性もありますが、自分で帳簿をつける場合は必須です。

青色申告承認申請書の項目でも紹介しましたが、個人事業主(フリーランス)だと大体このどれかの会計ソフトを使用していることが多い印象です。

上記の会計ソフトで帳簿だけでなく、確定申告書の作成まで可能です。

業種によっては取引回数も頻繁にあるわけではなく、帳簿付けも簡単なので、個人事業主の確定申告であれば少し勉強すれば自分でできるかと思います。

少しでも税理士費用を安く済ませたいのであれば、自分で帳簿をつけて確定申告だけ税理士に頼むという方法もありですね。

2.事業用のクレジットカード

すでにクレジットカードを持っているとは思いますが、普段遣いのクレジットカードとは別に事業用のクレジットカードを用意しておきましょう。

このあたりがおすすめです。

事業専用のクレジットカードを作ることにより、プライベートと事業用で使用明細を分けて区別することができるほか、会計ソフトと連携したときに余計な仕訳が混ざらなくなります。

3.事業用の銀行口座

こちらも事業用のクレジットカードと同様に、プライベートと事業用をきっちりとわけておきましょう。

すでに複数の銀行口座を持っている場合は、どれかを事業用として使うのでもいいです。

ただし、ネットバンキングに対応している銀行を使ってください。

ネットバンキングに対応している銀行であれば、入金作業もコンビニATMで済みますし、振込や税金の支払いもPCやスマホから可能です。

銀行やATMの営業時間を気にする必要がなく、作業効率が段違いです。

4.マイナンバーカード

もし、確定申告を電子申請(e-Tax)で行う予定であれば、マイナンバーカードを作っておきましょう。

マイナンバーカードには、電子証明書が標準的に組み込まれており、e-Taxの他にも労働保険等の電子申請ができるe-Gov、給与支払報告書等の申請ができるeLTax、コンビニでの住民票や印鑑登録証明書の取得等にも使えます。

マイナンバーカードは無料で発行できますが、他の手段で電子証明書を発行しようとすると料金がかかりますので、電子証明書の利用を考えている場合はマイナンバーカードを発行しておくのが良いです。

マイナンバーカードを電子証明書として利用する場合、ICカードリーダーが必要ですが、平成29年1月よりスマートフォンでも読み込めるようになりました。

詳しくは、公的個人認証サービスポータルサイトでお調べください。

5.名刺・ホームページ・SNSアカウント

Web制作を請け負うのであれば、ホームページは必須ですし、人と対面する機会のあるビジネスであれば名刺が必要となります。

飲食店や美容室であれば、個人のSNSアカウントとは別にお店用のTwitterやInstagramのアカウントを作りましょう。最近では、下手な広告媒体よりもSNSの方が集客効果が高い場合も多いので。

何を使うか、何が必要となるのかは、それぞれの業種によって違うと思いますので、必要だと感じたものを適宜用意してみてください。

6.開業、経営、経費に関する書籍

ネットで検索すれば大体出てくるといっても、毎回検索して調べるのも大変ですので。

開業や経営に関する書籍はともかく、会計・経理に関する書籍は読んでおきましょう。

特に経費に関する書籍を。

ある程度の知識がないと、後から会計ソフトへの仕訳作業をやり直したりするはめになります。

まとめ

以前、会社を作ったときも設立時の手続き関係はすべて自分で行いましたが、法人と個人事業主とでは必要な書類や手続きが若干違っていたので、自分用のメモとしても後で確認ができるよう記事にしてみました。

もし従業員を雇う場合は、当記事で説明したもの以外にも、給与支払事務所等の開設届出書の提出や労働保険等の手続きが必要となりますが、雇う予定がなく自分ひとりで事業を行うのであれば必要はありません。

従業員を雇うと役所に提出する書類も増えますし、給料計算や年末調整といった本業以外の事務作業に時間を取られますので、なるべく最初は人を雇わない方が本業に集中できます。

といっても、ネットビジネスならともかく、飲食店のような人手が必要になる商売だと中々そういうわけにもいかなそうですが。